ようやく映画「リンダリンダリンダ」観ました。
まずプロットについてですが、『リンダ…』は2005年7月公開、一方『涼宮ハルヒの動揺』は2005年3月31日初版、なお「ライブアライブ」は短編としてザ・スニーカー2004/10掲載つまり雑誌発売は9月で執筆はさらにそれ以前。なので、バンドメンバーが怪我して・・というプロットはパクリではないのは明らかです。逆に『リンダ…』がハルヒを参考にした可能性も、映画制作の期間を考えるとほとんどないでしょうかなり少ないのでは。(追記:ライブアライブの初出のタイミングを考えると可能性はなくはないです)まあ、ありがちなプロットですから。
ただしアニメ制作時には既に『リンダ…』は評判になっていましたから、「学園際、バンド、ギターが怪我して代役」という類似のプロットをスタッフがほっておくわけがないのは必然かもしれません。もっともZONEネタは4人組という以外に必然性がありません。完全に趣味の世界でしょうか。
(補足:山本氏は、ライブアライブ製作決定後に『リンダ…』の公開を知り、プロットが似ているならばいっそのことリファーする、と決めたそうです(関連エントリ)。ですから、まず4人組バンドという設定が優先されている可能性が高いです。)
さて、ライブシーンがパクリかインスパイアかオマージュかレスペクトか否か、について結論から言えば、
『リンダ…』の基本構図を全体的に参照しているが、『ライブアライブ』では
・多様なアングルのカット(アオリ・俯瞰・ハンディ)
・曲のテンポおよび盛り上りにマッチした編集
によって圧倒的なライブアクトの躍動感を表現している』
ということでした。
リンダx3とハルヒのなんとか より比較画像
上記画像だけでは「似たようなシーンを選んでるんじゃないの」という可能性もあるのですが、映画をみれば『リンダ…』を参照しているのは明らかです。学園祭映画の傑作へのレスペクトという印象をうけました。
もちろん、単なる参照というわけでは全然なく、この話のライブシーンはこの回の肝ですから演出も気合が入ってます。結局先のエントリで予測した、
特に上記サイトの比較では、前回言及したロー/ハイアングルのカットがありません。あとハンディの手振れのカット。これらは特徴のある構図なので元ネタであるとしたら比較対象になるはずなんですが、これがないということはライブアライブでの独自演出ということになります。(仮にそうだとすると)アニメだと更にここまでできるんだぞ、というスタッフの意気込みが炸裂した挑戦状といえるでしょうか。
は、ほぼ正解でした。違ったのは「挑戦状」という切り口。
というのは『リンダ…』のライブシーンはもともとライブアクトの躍動感を狙ってはいないんですよね。ライブで用いられている構図も映画全体で一貫しているものです。
一方『ライブアライブ』のほうではプロットの要請として、聴衆およびキョン(≒視聴者)をそのライブアクトを強烈に印象付けなくてはならないので、気合の入った作画とカット割りによってそれを実現しています。実際、この回は、スタッフは「スタッフは命を削った」と言っていますが、ライブシーン以外の学園祭のシーンも含めて、ほんとにそうだろうと思います。
あと細かいこと色々。
上の画像で、共に曲終了後にボーカル(ソン・ハルヒ)がメンバーと順番に視線を交わすシーンがありますが、『リンダ…』では、上記のカットにメンバーそれぞれのカットがはさみこまれます。『ライブアライブ』では、ハルヒが3人と視線をかわす過程はワンカットです。この違いはそれぞれの映画で表現しようとしてる内容の違いが演出として異なってくるかを示していて面白いです。
下から6番目の「ステージを見る、槙原・キョン」の図。この構図の類似も偶然ではないですね。槙原は訳あってボーカルのソン(ペ・ドゥナ)を見つめているんですよ。腕を組む姿も一緒ですし。この槙原君を演じているのは、画像だとちょっとわかりにくいですが松山ケンイチです。
そう、『デスノート』でエルを演じた彼ですよ。これを踏まええると最近流布したガセネタ「涼宮ハルヒの憂鬱が実写化」(リンク先はガセネタであることを紹介している記事。)の配役
キョン:松山ケンイチ(21)
涼宮ハルヒ:新垣結衣(18)
朝比奈みくる:戸田恵梨香(17)
長門有希:黒川芽以(18)
古泉一樹:石垣佑磨(23)
も味わい深いわけで、(w
ちなみに、みくる役の戸田恵梨香はミサミサです。うーむ・・・・
(10.15 追記:アニメ版「デス・ノート」のミサミサはハルヒcvの平野綾。なんか縁ありますね)
個人的には
(09.09追記 youtubeで割と最近の福田麻由子の映像みつけました。 また大人になりましたねえ。もういけるかも)
#『リンダ…』についてはいずれレビューをまとめたいと思います。(こちら)この映画好き嫌いがはっきりわかれるようですが、私は好きです。
#実はこのサイト、キーワードがライブアライブ、リンダリンダリンダで来る人がすごく多いんで、ちゃんと観て比較せねばと思ってたんです。これで期待にこたえられましたでしょうか(w 私としても、そのおかげで『リンダ…』という作品をちゃんとみる機会をつくれてラッキーでした。
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