水曜日, 4月 18, 2007

ドラマ:セクシーボイスアンドロボ

黒田硫黄の作品はかなり以前に「大王」を読んだことがあり、その独特かつ異質な雰囲気が強く印象に残っていた。特に手塚のメトロポリスのカバーとか。

で、ドラマが始まる直前に原作を読んでみた。
んんん。くせがあるけど勢いあるなあ。けどこれだとロボって無茶苦茶影薄い。主人公はセクシーボイスことニコが主人公ではないか。

番宣ではいかにも松山ケンイチのロボが主人公っぽい(実際、松山初主演と宣伝されてる)。
どんな脚色してくるのかなと思ったら、ちゃんとニコが主役じゃん。ということは前宣伝の段階では大後寿々花のお茶の間への浸透度を考慮して松山を前面に出してきてたのだな。

正直言って前宣伝での大後寿々花は、原作のニコ、テレクラのバイトで大人を手玉にとるようなキャラ、とは程遠い感じがした。ルックスだけで言えば福田麻由子のほうがぴったりなんだけどな、けど声質に難があるし、などと思ってたのだが・・・

本編始まって驚いた。何、この娘の存在感。伊達にハリウッド作品(SAYURI)に出てたわけではないんだ。おみそれしました。これなら充分ロボをこき使っていけるわ。安心安心。

もっと驚いたのは最初のエピソードに「三日坊主」を持ってきたこと。原作では中盤のエピソードであり、ある程度固まってきた世界観をひっくり返す重要な話なのである。それを導入に持ってくるということは相当に原作をいじってくるつもりなのだな、と。

で、第2話。美容院に強盗のバイクが突っ込んでくる冒頭部。お、これは原作どおりかと思いきや、そこからは全くのオリジナルストーリーだ。脚本、かなり飛ばしてるなあ。
こりゃ、黒田硫黄のコミックは原作というより原案という位置づけだ。

がしかし、出来が悪いかというと、全くそんなことはない。
ドラマとして本作を構成するにあたって原作には希薄なニコの生活環境、すなわち家族や学校の会話・描写・モノローグをしっかり入れて、主人公のキャラクタを明確にするようにしている。これは、ドラマとして世界をしっかり示して、エピソードごとのテーマをより深く表現するためだろう。

第1話・2話を見る限り共通に感じられるテーマは「生きる」ということではなかろうか。

いい意味で原作を解体・再構成されてほとんど別物になっているニコとロボの世界ではあるが、もしかしたら根底に流れるテーマは案外似たようなものなのかもしれない。

原作のニコは「スパイか占い師になりたいんだ」と言う。結局これも他人の人生になんらかの形で関わりたいということである。ドラマではこのニコの思いを、社会との関わりを模索する中学生のちょっと不思議な話として再構成しているのだと思う。

今後も期待しよう。

#ところで、このドラマ松山ケンイチって、ふとトンネルズ石橋に見えてしまうことがあるのは、わたしだけ?・・・・・・(by だいたひかる)