土曜日, 1月 27, 2007

ハルヒ:見た目のカメラワーク(3) フォーカス

DVDは7巻までリリースされましたが、こちらは今だに「憂鬱Ⅰ」(放送第2話)の演出分析だったりして。
(その2から予告しておきながら1月たってしまった・・・・・・)

さて見た目のカメラワークその(3)「フォーカス」です。
以下は席変えの前、キョンとハルヒの会話が成立した後の1シーンです。

休み時間になり席を立つハルヒ
それに気がつき、どこへ行くのかな、と振り返るキョン
ここからキョンの「見た目」カットになります。
前のカットでキョンが振り返ったところから自然につなげられています。
キョンは教室を出るハルヒを眺めています。
ハルヒが見えなくなったと同時に視界に割り込んでくる谷口

ここのフォーカスに注目してください。谷口ぼやけてますね。
ようやく谷口に焦点があいました。
同時に奥の生徒への焦点がはずれており、谷口へのフォーカスがより明確になっています。

最後のみっつの絵はキョンの「見た目」のカットですが視線は移動することなく固定された構図となっています。
もし、キョンがハルヒの行く先をとても気にしているのならば、ハルヒにフォローする形でズームやパンによって目で追っていることを強調したでしょうが、ここでは構図が固定されています。ということは、ここはまだ、キョンはただなんとなく「どこに行くのかなぁ」程度の注目しているんだよ、という印象を与える演出です。

しかし、ここで谷口の割り込ませて、視点フォーカスをハルヒ⇒谷口へとワンテンポ遅れて切り替えるという効果を加えることにより、その印象は塗り替えられます。谷口の割り込みにちょっとびっくりさせられたという感じが明確になるとともに、たぶんキョン自身も意識していなかったハルヒへ注視が表面化します。視聴者がキョンと視界を共有することにより、ハルヒへの視線の感覚をも自然に感じさせることに成功していると思います。

ちなみに、
固定構図におけるフォーカスの変更は、構図に奥行きのある場合、例えば役者2人が手前と奥にいるような場合に注目すべき対象を切り替える、というのが典型的な使われ方です。廊下のような狭い空間で向かいあっての会話だったりすると横からの構図は取りにくいですよね。そこでフォーカスを使ってカット割やズームを用いずに視線を誘導するわけです。

#無理にカットを割ると向きが正反対の構図に切り替わるので画面がばたばたしてしまいがち。(いわゆるイマジナリーラインへの抵触) ドラマ観てると結構そんなんがあったりします。

画像出展:DVD 涼宮ハルヒの憂鬱1より