木曜日, 10月 12, 2006

ハルヒ:不描之描(例えばEDダンスの場合)

人は文章や映画などを見るとき、書/描かれていることだけでなく、むしろ書/描かれていないものを積極的に認識し補完しようとします。


これ、エンディングダンスシーンの「Boooon」の動作のひとコマですが、どのタイミングのところかわかりますか?

大抵の人は最後のちょっと前あたり、Boooonの“n”の直前あたりという印象を持つのではないでしょうか。

実はこれ、このカットのラストの絵なんです。
ダンスシーンでは、伸び上がる動作がもっと上までいって形としてフィニッシュまでいってたように記憶してませんか?
ところが絵を見る限りでは、足の感じはちょっと不安定だし、手も上まであがりきってないし、視線移動もまだ途中で、明らかに動作はフィニッシュしていないように見えます。

エンディングのカット割では、曲のリズムの区切りの直前でこのカットをおわらせ止絵につなげています。この微妙なタイミングと動作の不足によって、見ている側はポーズのフィニッシュを脳内で補完させています。なまじ元の動きがいいために途中で動きが切られても感覚が補なうため、受け手が望むもっとも可愛いカットによるフィニッシュとなっているはずです。

ダンスの前半部分は、このような細かいカット割りと止絵を組み合わせて、密度の高い動きを視聴者に印象づけ、かつ、「ダンスをまとめて観させてくれ!」という飢餓感をあおっています。「地球の果~てまで♪」「あっそっぼぉ♪」のダンスの部分も単に細切れにしているわけではなく、フルショット、アップ、俯瞰+広角、といった種々の構図をとりまぜて、見る側の補完機能をフルに稼動させています。
そして終盤は5人のダンスを完璧に見せてくれて、ああ、いいもん見せてもらったご馳走様、となります。実に視聴者の心理を煽るうまい構成でしょう。

いわゆるハルヒダンスの影響力のすごさは数々のダンス映像からもわかるわけですが、これもこの構成の妙によるところが大きいと思います。


で、いよいよダンスの完全版がアナウンスされたわけですが、

『涼宮ハルヒの憂鬱』エンディング「ハレ晴レユカイ」完全版、DVD最終巻映像特典として収録決定
DVD最終巻「涼宮ハルヒの憂鬱 7」の映像特典について

これ、公開された絵コンテのままだと単に振り付けをなぞっただけで、振り付けの参考にこそなれ元のエンディングのようなインパクトはないと思うんですよね。2~3回みればもういいかな、ってなってしまうのでは。ただでさえ、自主的な振り付け動画が先行しているのですから、京アニの維持にかけてファンの期待を上回る映像を作って欲しいです。

ここは是非ともDVDのマルチアングル機能を使って、
・ライブアライブばりのカメラワーク版、と
・正面固定カメラ+アップ少々
という構成にしてくれないかな。

#あと、本家、絵コンテシンクロバージョンも是非

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