日曜日, 9月 16, 2007

らき☆すたのカメラワーク

18話、この回で日下部みさおがはじめて登場するカット




このカットでは、“つかさがかがみに教科書を借りにきているところ” を眺めているみさお、という構図がつくられている。

ここで、みさおのセリフは全く無く、会話はつかさとかがみのものだけ。しかも二人は手前にいるため画面を広く占有している。ということは、下手をすると視聴者にこのカットは柊姉妹の会話がメインという印象を与えかねない。

それを回避するために細かい工夫がいくつか組み合わせれている。

・日下部の目線描写
 教室につかさが入ってきたところ、ふたりの会話中の瞬き、教室を出るつかさを追う目線、これらが、はっきりと描かれている。観客は役者の目の動きに敏感に反応するため、自然に日下部に注意がいくことになる。

・フォーカス
 日下部に焦点があっているのは、まあ当然であるが、柊姉妹へのフォーカスのはずして具合が絶妙。これ以上ボカしてしまうと、日下部がなにげなく聴いているという印象からかけ離れてしまう。
視聴者の認識力を信用した上での演出であろう。

・フレームアウト
 つかさは目鼻から上がフレームアウトしており、座っているかがみも頭が少し外に出ている。ふたりをフレーム内にきっちり収めないことによって、ふたりがこのカットの主体ではないことを印象づけている。 

 特に、なるほどと思ったのは下方向の画面の切り方。
画面が、かがみの胸のあたりで切られているため、かがみが教科書をかばんから取り出す動きをする一連の動きにおいても、脇で切れたり、腕の一部がきれたりと、常に安定の悪い構図となっている。
 手前で大きな面積を占めているという状態を、逆に構図として収まりが悪いというようになるように、うまい具合にレイアウトをしているわけだ。

・モブがシンプル
 同じ様に背景位置にいる日下部との差異を明確にしている。

などなど。丁寧な仕事だなあとつくづく感心。