もう11月になってしまったが、上半期のアニメを総括しておこう。
ベスト3は「おおきく振りかぶって」「精霊の守り人」「ラブ☆コン」だ。
他にも楽しんだ作品はいくつかあるのだが、限定された時間内で、選ぶとすればどれか、という観点で、これら3つが抜きんでていた。
1.おおきく振りかぶって
1週間のうちで、なんといってもこれが楽しみだった。夜遅いのもあいまって、何度ナマで観たことか。(^^; 上記3本の中からさらに1本選ぶとしたら、やはりこれである。
放送開始時のエントリで、真っ先にその出来を絶賛したが、最後までその評価は変わらなかった。
まあ、第2話でちょっと、「あれ?」っとなったことはあったが、結局そこはたいしたことなくて、それ以降は没問題だ。
本当に、これほどまでに原作に忠実で、しかも原作で表現しきれないかった部分までをアニメとして構成し、そしてなんと言っても最後まで、次の週が楽しみでワクワクしてた、というのは久しぶりの体験である。
さらに、このアニメは業界内部でも注目度が高かったようで一般アニメ誌からクリエーター関係誌、そして制作サイドブログと色々と情報が出ており、制作の裏側がわかって非常に面白かった。
これらの記事を読んであらためて、この作品の作りこみの凄さを知ることができた。
一口に「原作に忠実な面白さ」といっても、アニメとしてそれを実現するには、実に色々な項目をクリアしなければならないのだな、ということが改めてわかる。
原作者からスタッフの皆さんまで、楽しいアニメを送り出してくれて本当にありがとう。
原作が全然貯まってないのでいつになるかはわからないが、続きが本当に楽しみな作品である。
2.精霊の守り人
「読んでから観るか、観てから読むか」、というのは角川映画/文庫でのメディアミックス路線の先駆けとなる名コピーであるが、私は断然、原作派である。
そして、最近のドラマやアニメなどは放映にあわせて原作本もずらっと本屋にならぶので、
・初回/番宣をみる
⇒面白いかな
⇒原作チェック
⇒以降、いかに原作を料理してくるかに注目
となることが多い。
この「精霊の守り人」についても、アニメ視聴開始からそれほど間をおかずに原作文庫本を手に入れた。で、何度か原作を読んでしまおうかと思ったのだが、アニメが進むほどに、「この作品はアニメで構築された世界観で最後まで観ておきたい」という思いが強まってきてしまった。それほどアニメ版はそれ自体で見事に完成されていたのだ。
もちろん怒涛の終盤に至って、原作を読みたーいという欲求も限界に来ていたので、最大の山場を終えたアニメ最終話のひとつ前視聴後、原作を一気に読了し、心静かに最終回を迎える、という流れになった。
結果的には原作を読まないでおいたのは正解であった。物語の基本骨格はほぼ原作通りなのであるが、終盤に至るまでの肉付けと人物像の掘り下げ方は、それはそれは緻密であり、数々のオリジナルエピソードも物語全体の奥行きと広がりを豊かにしており、仮に、原作者が脚本を担当したのだ、と言われたら、疑いもなく信じてしまっただろう。それほどの出来だと思う。
もし、原作を読んでしまったならば、「ほお、こんなエピソードで掘り下げに来たか」とかついつい演出の出来という目で話を捉えてしまったであろう。このようなアニメに出会ってしまうと今後は原作チェックの是非についても判断に迷うことになるな。
もちろん原作も非常に面白く語るべきことが多々あるのだが、これについてエントリを改めよう。
これだけ絶賛しておきながら、なぜ「おお振り」についで第2位か?、と思われるであろう。
客観的には作品としての評価は、多分ほとんどの面でこちらが上である。
が、それゆえにこの作品に向き合うには、こちら側にもそれなりの力の入れ具合が必要であり、まあ、前半はその余裕がちょっとなかったというわけで、ようするに私のヘタレ故、第2位ということである。
BS放送だったため観ていない人もまだいるだろう。
再放送がBS2で11月5日深夜から始まる(毎週2話)
このエントリをこの時期にあわてて起こしたのも、一人でも多くの人に、精霊の守り人を見てほしいからだ。日本人が日本人として満喫できる数少ないファンタジーの傑作であることは間違いない。
是非ごらんあれ。
3.ラブ☆コン
これ完全ノーマークだった。
番組改変期でTBS土曜6時枠が30分繰り上がった時のタイマー設定がそのままだったので、たまたまレコーダーに残っていたのをチェックしたのが始まり。
最初は
「関西弁がちょっと不自然かなぁ」 とか
「少女マンガのデザインをそのままキャラに起こした感じだな」 とか
「そこまで慢符多用したらアニメじゃなくて動く紙芝居になっちゃうぞ」
などと思ってたのだが、第1話終わるまでには、そのテンポと掛け合いの間の良さで家族で爆笑しながら楽しんでたよ。特に、カミさんが女子高生の微妙な心理のアヤのところに「でしょ」とフォローをいれ、大谷の鈍感さ加減に「あー、これだから男子は」っと突っ込みをいれ、そのとばっちりを私が喰らうという流れができるにあたっては、完全に家族用コンテンツになったしまったのであった。
その後、カミさんの大谷への突っ込みと、そのとばっちりは、当然のことながら、息子どもへとシフトしたのだが。
序盤のテンポの早さも特筆すべきところだ。だいたい、いまだかつて前半1クールでバレンタインを2回もこなすなんて構成あり得ただろうか。で、後半は3学年目をじっくりと描きつつ、イベント満載でダレさせない。見事である。最後まで楽しませてもらった。
第1回で、全く関心なかった我が家をがっちりつかんだこのアニメ、演出・構成の出来もさることながら、小泉役の岡村明美のキャラによるところが大きいと思う。
ワンピースのナミ役でアイデンティファイされているのだが、考えてみると、ナミも小泉リサも、このキャラにマッチする声優さんというのは、あんまり思いあたらない。
仮にあの人なら、いや、あの人ならなどと考えてみたものの、
元気があって、時にしおらしく、けど真っ直ぐに図太くて、はじけることもできるが、キれていない、
などというのは難しいよね。最初関西弁にちょっと違和感があったのだが、すぐに勢いで気にならなくなった。声優さんの適応力って凄い。キャスティングディレクターの力量も凄いということになるのだろうな。
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