前回のエントリーで小津映画の特徴的な構図の実例を探していて参考になるサイトと映像をみつけました。
小津映画入門
#残念ながらリンク切れ。とっても参考になるコンテンツだったので非常に惜しい。どなたか移転先ご存知でしたらご連絡ください。
小津のスタイルとして一番有名なのが、ロー・ポジションのカメラだ。カメラは、あらかじめ決まった位置に据えられて動かない。その他にも小津映画にはさまざまな特徴が見出せる。たとえば、人物の正面撮影、画面の左右対称の構図、人物の並び合うかたちなど。また繰り返しが多いのも大きな特徴だ。ここでは『東京物語』(1953年)を例に、そうした<かたち>や<絵柄>に着目しながら、小津映画の表現を探ってみよう。
特徴的な構図の効果やその繰り返しによる表現についてわかりやすくまとめられています。「東京物語」は予備知識なしで観ても十分に心に余韻が残る作品です。上記の解説にあるような映像演出は、映像文法などの理屈抜きで観客に自然に伝わってくるものなのですね。
もうひとつ
T.M.Revolution 魔弾(
T.M.Revolutionの曲を小津映画パロディで構成したビデオクリップです。この作品、それなりに評判になったそうですが全然知りませんでした。どうも一般には「昭和中期風日本映画の雰囲気にTM西川の音楽を載せたミスマッチ(そして途中のありえない超展開)が面白い作品」という評価のようです。
しかしこの作品はとにもかくにも小津作品のパロディとして観なければその面白さも半減です。そもそもこれ、パロディの枠を超えてます。オマージュという言葉でも到底足りないぐらいの完成度で、そのまま小津作品の解説のサンプルにしたいぐらいです。
ローポジションのカメラ・肖像画のような人物描写構図・イマジナリーラインにとらわれないカット割など、小津監督の映画と見間違えかねない出来で、その特徴を十分に把握してもらえると思います。上記の小津映画入門で解析されている「不自然に遠回りする人物たち」の、玄関から部屋への人物移動時の独特なカメラ位置とカット割りについても短い作品内でストーリに組み込まれ完璧に再現されています。
このクリップのすごいところは単なるスタイルの借用だけはありません。小津映画の本来のエッセンスまで吸収しており、ストーリ構成および(途中の超展開は除いて)オチにおける本質的なテーマまでも共通です。ものすごい完成度です。
それに加えて、ビートのきいている歌詞を登場人物それぞれに歌わせつつ、その演技はオーソドックスな日本ドラマの表情とテンポのまま、という離れ業までやってます。
試しに音声OFFで観てください。この映像にT.Mの音楽が完全にシンクロしてるとは信じられませんよ。
#だからこそ小津作品の中で「ロ○ット○ン○」が登場するという超展開があるわけですが・・・
##あと、ヒロインが木村多恵(多江)だったのもびっくり。“薄幸美人役を演じることが多いためか、自他共に認める「日本一不幸が板に付く女優」”(Wikipedia)の名に恥じないヒロインっぷりです。
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